このブログでめざすこと

もくじ

【私たちのめざすもの】

  私たち(主催者と複数の協力者)が本ブログを立ち上げたきっかけは、2011年の東日本大震災の際福島で起こった大規模な一連の原子力発電所事故と現在に至るその後の様々な経過である。このような事件が発生し、ごく普通の人々に甚大な被害が及ぶ事態の進行・悪化に対し、私たちは、理系の科学者・研究者・企業人として、周囲の人々を守る何ら有効な(意味のある)貢献が殆ど出来なかったことを深く反省している。即ち、事前には原子力発電所の危険性・脆弱性についての認識が知識人・専門家としては不十分で、周囲にその危険性を伝え監視・防衛する役割を果たせず、そのための行動等を組織できなかった。それらの結果として、重大事故の発生と被爆・核汚染被害の拡大・広域化を許してしまった。事件後も、周囲の人々に被害の発生やその規模、重大性に関して有効な警告やアドバイスをすることを怠り、拡大する社会的混乱やパニックに際して有効かつ冷静な知見を提示し、それらの拡大を最小限に喰い止めるもできなかった。

  それでは、私たちは、確実に近い内に日本のどこかで起こる次の原子力発電所事故に対し、今後どうすれば良いのか今から何をどう準備しておけば、様々な被害を軽減し、生き残れる若者や子どもの数を増やせるのか、これらのことを真剣に考えたい。そのために私たちが取り組みたいのは、既に多くの個人や団体により取り組まれている、大企業や政府相手の反原発・脱原発運動と極く普通の人々とを繋ぐ作業である。現在の反・脱原発運動は、多くの方々が精力的に取り組まれており、その努力には多くの敬意が払われなければならないが、実際に原発政策を変えたり、原発を止めるところまでには到達していない現状がある。その一方で、3.11後の各種世論調査では、原子力発電やその輸出には懐疑的な意見やが6−7割を占めると言う結果が報告されている。このギャップを埋める具体的な努力が今必要ではないだろうか?その具体的な努力とは、次に提案する幾つかの作業を周囲の人に提案し、ともに日常的に取り組むことであると私たちは考える:そしてこれら一連の取り組みの呼びかけ、進捗の報告等を、本ブログを通して広げていきたい。

  • 平易な原子力関連資料の作成と頒布(関連の単位、被ばく被害、放射能汚染の予測等)
  • 世界中の反原発、脱原子力運動の紹介や運動のニュース・資料等の翻訳・アーカイブ化

関西地方における

  • ヨウ素剤事前配布運動
  • 放射線分布測定マップ作成体制の準備
  • 飲料水汚染に対する安価な放射性物質除去装置の検討

  それでもわれわれの意識の中では、ネバダ核実験場汚染やスリーマイル事故は現在の米国の軍事産業やエネルギー産業の暴走がもたらしたもの、セミパラチンスク汚染とチェルノブイリ事故等は旧ソ連軍産複合体が「国家」最優先政策の末引き起したもの、と言う「差別」意識があるような気がする。果たして日本で現在自民党政権と重電メーカーや電力会社が進めている原子力政策は、それらより「ずっとまし」で安全なのだろうか?そうで無いことは、福島事故とその後の顛末を見れば明白で、膨大かつ広範な人々に取り返しのつかない犠牲を強いた、そして今後強いる点で何ら違いが無い。

 再び私たち自身に立ち返ると、原子力発電所事故の発生とその後の対応等で日本の理系知識人は一貫して何ら有意な役割を果たせていないこと、を自戒の念を持って再確認すべきであろう。日本の良識ある科学者は、自己のためにのみその知識を使うのではなく、今こそ専門家の立場から巷の人々の傍らで、脱原発をめざすとともに新たな事故にも有効に備えうる様々な呼びかけや試行錯誤・行動を始めるべきではないだろうか?日本の将来を核汚染列島に沈めてはならないと思う。

 【本ブログ関係者の紹介】

主催者:民間企業を経て、現在理系大学教員。専門は原子物理学や原子力工学ではない。

協力者1:民間企業を経て現在は無職。地域で様々な日常活動を行っている。

協力者2: