政府事故調査報告書をアップします!

2011年3月の東電福島原発事故から10年が経とうとしています。しかしながら原発をめぐる日本の状況は、原発再稼働、火山災害との関連性、使用済核燃料の再処理問題など、どれをとっても予断を許しません。今この時大災害が発生すれば、日本の原発群は甚大な被害をわれわれに与えつつ崩壊する可能性が有ります。

われわれが被る被害を最小限にするためには今われわれは何をすべきでしょうか?このことを考える契機の一つとなるのは、福島事故の後、膨大な時間と労力、お金を費やして作成されたのが、数多くの「報告書」です。これらを再度地道に検証し、さらに多くの教訓を引き出すべきではないでしょうか?。

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コロナ禍により、管理者の職場も予想を超えた混乱で多忙を極め、本ブログの更新にもブランクが出てしまったことをお詫びします。何とか以前のペースで更新を続けていきたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。

国会事故調査報告書 全文アップの続きです。

2011年3.11福島原発事故に関し、その原因についての再度の議論の深化のためのきっかけ、あるいは資料として活用されることを願っています。以下、国会事故調報告書後半の資料です。

報告書2 第4部 1-2

報告書2 第4部 3-4

報告書2 第4部 5

報告書2 第4部 6

 

国会事故調査報告書(全文)をアップします。

 

 2011年3.11福島原発事故に関し、その原因についての再度の議論の深化のためのきっかけ、あるいは資料として活用されることを願っています。

大変長いのでまずは前半。

報告書1 はじめに、、本文詳細目次

報告書1 第1部

報告書1 第2部 1

報告書1 第2部 2

報告書1 第3部 1-2

報告書1 第3部 3-6

国会事故調報告書に関しては、最近では石橋 哲さんの次の記事が存在する。

「原発事故経ても忖度ばかり、安全神話、まるで進撃の巨人」

https://digital.asahi.com/articles/ASMDN42C6MDNUPQJ00B.html?iref=pc_ss_date

 石橋さんは、2011年3月におきた福島第一原発事故をめぐり、国会が設けた民間人からなる独立の事故調査委員会(国会事故調、1年間の時限)において、事務局で実務を担った。今も高校などで事故調報告の真髄を語り続ける。インタビュー後の記事の中で石橋さんは次のように述べている。以下上記記事から引用する。

 

➖解散して7年以上も経つ事故調の話をするのはなぜ?

 「事故の背後には、自らの行動をずっと正当化し、責任回避を最優先し、記録を残さないできた不透明な組織と制度があり、それらを許容する法的な枠組みがあったと事故調は指摘しました。その根本原因の解決に向けて不断の改革の努力を尽くすことが、国民一人ひとりの使命だと報告書に書いたからです」

 「国会事故調は、国会が憲政史上初めて作った独立調査委員会です。事故が起きた11年の12月にでき、翌12年7月に592ページに及ぶ報告書を衆参両院の議長に提出しました。委員10人の下、最盛時は約100人のスタッフが延べ1167人の関係者に900時間以上話を聴き、東電や規制官庁に2千件以上の資料を請求して、事故原因や再発防止策を探りました」

➖報告書をもっと知ってもらうための活動、高校でのゼミ(題材は「進撃の巨人」

「そこで友人や知り合った高校生、大学生らと『わかりやすいプロジェクト』という活動を始めました。報告書の内容を一人でも多く知ってもらおうと、メンバーが手作りで動画などにまとめ、ウェブで公開しています」

「これは城壁の外に人を食らう巨人がいるという設定です。安全を守る壁の絶対性を説く支配層、それに従う普通の人々、壁に疑問を抱く少数派の3グループに分かれて、それぞれが何を大事にしているか議論したうえで、そのためにどう行動するかを発表してもらう『なりきりディスカッション』をしました。支配層と普通の人々が疑問を抑えつけ、壁に疑問を持つ人々が少数である限り、巨人が壁を壊してなだれ込み、多くの人が食われる結果を招きます」

➖本当の原因は「制度的な欠陥・問題」

「事故や災害が起きると、様々な問題が一挙に顕在化します。それは慢性の病気が急に悪くなった状態に似ています。解熱剤で発熱を抑えるなどして一時的に楽になったとしても、もとの病気を治さなければ再発します」

 「顕在化した問題は氷山の一角です。本当の原因は、その前から抱えていた制度的な欠陥・問題で、そちらの方がずっと重要ですが、十分に議論されていません。メディアの注目も足りません」

「社会は変わってきた。だからあきらめない」

今月5日には衆議院の原子力問題調査特別委員会に、同委員会アドバイザリー・ボード(会長=黒川清・元国会事故調委員長)のメンバーとして呼ばれました。国会の取り組みはいかがですか。

「17年にボードができてから4回出向きました。国会事故調があったことさえ知らない国会議員がたくさんいて衝撃を受けました」

 「事故調はたかだか半年活動しただけで、手を着けられなかった問題がたくさんあります。なので国民の代表である国会で調査や議論を継続するよう提言したのですが、ほとんど実現していません」

「未解明部分の原因究明や、原子力をめぐる組織的・制度的問題の解決など、大がかりな取り組みになるので、実施計画を作って進み具合を国民に公表することや専門家による独立調査委員会を活用することといった具体策も挙げてあるのですが……」

 「この間、米国の連邦議会は専門家に依頼し、福島第一原発事故について2年間かけた調査を2回実施しています」

 ➖国会を含め日本社会はなぜ変わらないのか?

「変えるより変えない方が楽で合理的だからです。国会議員にとっては有権者の支持を集めることが重要です。『どうすればいいだろう』と議論で悶々(もんもん)としている姿より、見栄えよく誰かを非難している様子が報道された方が票につながると思うから、変わらないのです。そういう有権者、商業メディアだからです」

「何もせずに国会が悪い、政治が悪いと言っていても、何も変わりません。昨日と同じような行動を選択するから、昨日と同じような日がまた一日延びるのです。社会は与えられるものではなく、『私』が『今』創るものです。自分を変えることは一番簡単です。国会議員も自分の周囲の有権者がどう考えているかを見ています。『変えることが合理的なんだ』と思えば、必ず変わります」

「世界史の教科書を開くと、この一行の中に何人が押しつぶされる思いをしただろうと考えます。でも、社会は変わってきました。だから、あきらめません」

 興味のある方は是非記事をお読み下さい。また、関連団体『わかりやすいプロジェクト』https://www.naiic.netから報告書についての資料も公表されているので、そちらも参照されたい。

 

東電福島事故レポート (1)

本ブログにとっても東電福島原子力発電所事故は避けて通れない課題であるが、まずはこの記事を手始めに、民間や政府から出ている代表的な幾つかの報告書について、その資料本文と可能であれば関連コメントを順にアップして行きたい。そして未だ結論が出ていない(コンセンサスが出来ていない)、事故はなぜ起こったのか、また今後どうすべきかについて、特に若い研究者がじっくりと研究・考察するのに有用な基礎資料を提供して行きたいと考えている。第1弾は、民間事故調査委員会の一つであるFUKUSHIMAプロジェクト委員会によるFUKUSHIMAレポート(第1章)である。

FUKUSHIMAレポート はじめに、目次

FUKUSHIMAレポート 第1章

今回の公開にあたり筆者より小文を頂いているので、ここに掲載します。

WEB公開に当たって

ここに掲げた「東電福島第一原発事故調査報告書」は、2012年1月に出版した 『FUKUSHIMAレポート──原発事故の本質』  の第1章を再掲したものです。

2011年3月に福島第一原発事故が起きたとき、「事故原因をきちんと調べ上げ、どこに責任の所在があるかを明らかにすることは、日本に住む一人ひとりが地球人の一員として誇りをもってこれからも生きるために不可欠なことだ」と思いました。そこで、私たちは2011年4月に中立の立場で事故調査委員会「FUKUSHIMAプロジェクト」を立ち上げ、8人のチームで8か月間この事故の本質は何なのかについて調べ上げました。またいかなる団体からも独立して調査レポートを出版するために、出版のための寄付金を募りました。その結果、300人以上の方々から300万円を超える寄付金をいただき、500ページを超える調査レポートを1000円に満たない価格で出版することができました 。

この調査レポートでは、私は「なぜこんなことになってしまったのか」の直接的原因の分析をしました。判明した原因とは、「技術自体」ではなく「独占企業による技術経営の誤謬」です。全交流電源喪失になっても原子炉を冷やせる「最後の砦」が原子炉には設置されていて、これはきちんと動いた。したがってそれが動いている間に海水注入をしていれば、原子炉が暴走することはなかった。ところが東電の経営者は、その海水注入を拒みつづけた。これが事故の直接的原因です。

このweb版をお読みになった方々からも、ご忌憚のないご意見・ご批判を頂戴できれば、うれしく思います。

京都大学大学院教授 山口栄一
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