ヨウ素剤配布ー各地の状況

もくじ

福井県の状況

(1) 県内の原子力発電所

県内に5カ所の原発

敦賀市・美浜町(嶺南東部):日本原電敦賀発電所、もんじゅ、関電美浜発電所

大井町・高浜町(嶺南西部):関電大飯、高浜発電所

5 km圏(PAZ)、30 km圏(UPZ)内の配布対象者数(2018/10/1現在)

PAZ 5市町(高浜町、大飯町、小浜市、美浜町、敦賀市):約1万人(内8割が高浜町)

UPZ 上記5市町+7市町(若狭町、南越前町、南若桜町、越前市、鯖江市、福井市):32.8万人

(2) 事前配布説明会

  • 2014~18年(平成26~30年)に年19回から44回、述べ124回(但し土日祝日、平日夜開催)
  • この他、月1回、県健康福祉センター及び若狭高浜病院において定例配布説明会
  • 配布率 (問診数/対象者数)は、61.9~80.9 %
  • 2016.11月~ ゼリー剤配布開始(3歳未満)。また、2017.8.5~ ヨウ素剤更新説明会(3年毎)開始
  • 開催準備:5 km圏内に会場設置(公民館等)。住民に説明会の案内と問診票送付
  • 人員体制:通常20名程度 医師1名、薬剤師 1~2名、保健師3~6名、事務員10名程度。

会場での作業の流れ:1 受付、2 ヨウ素剤の効果等について説明(DVD活用)、3 問診(保健師→薬剤師→医師) 4 安定ヨウ素剤の配布⇒一人30分程度

(3) 説明会現場の様子と課題

課題:事前の新規・更新・年齢別の配布資料の送付が煩雑。住民に取って説明会参加が負担。要員(医師、薬剤師)の手当が大変。

(4) 安定ヨウ素剤の備蓄状況と(30 km圏内への)緊急配布

備蓄場所および備蓄量

  •   UPZ圏内住民(12市町約338,000人)への安定ヨウ素剤の緊急配布に備え、保健所、市役所・役場、公民館等の計53か所に備蓄
  •   備蓄量 丸剤192万丸、ゼリー剤3万200包

緊急配布方法

  • 県および関係市町職員が、備蓄場所から一時集合場所等に設置する緊急配布場所に安定ヨウ素剤を搬出の上、避難住民に順次配布
  • 緊急配布場所 12市町114か所

安定ヨウ素剤の問診票券受領書(福井県)

鹿児島県の状況

(1) 経緯

  • 2013年6月 原子力規制庁は、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、 安定ヨウ素剤を事前配布する方針へ

・ 2014年6月 鹿児島県は全国で初めて事前配布を実施

・ 2018年までの5年間で、計38回住民説明会を開催(2018年12月末現在)

・ 2018年6月時点で、事前配布率は 約7割

  • 鹿児島県におけるPAZ圏内の安定ヨウ素剤配布実績(2018.6.17時点) 対象人数 4,197人
  • 配布者数 2,879人(68.6%) 受診勧奨,不配布(医師判断) 23人 受取辞退 268人 問診票未確認者数(配布説明会未参加者数) 1,027人

(2) 川内原発の5 km、30km圏

(3) 住民説明会の現状(5 km圏内)

鹿児島県と薩摩川内市の共催により実施

平成30年度の開催実績

  • 開催回数: 上半期2回下半期は更新配布会と併せて7回、計9回説明会開催( 休日中心)。
  • 開催1回に必要な人材: スタッフ数は20人以上(自治体職員)。 専門職は医師1~2人、薬剤師10人以上、保健師は5人以上。
  • 医師は、川内市医師会が派遣。

問題点

  • 休日にスタッフを集めるのは容易ではなく、現状としては、川内市医師会でも役員が 交代で対応。
  • 台風の多い鹿児島県では、警戒警報のため開催中止(延期)を迫られることもある。

(4) まとめ

1.鹿児島県は全国で初めて事前配布を実施した県

試行錯誤を重ねながら、2014年6月から2018年まで計38回住民説明会を開催。

2.住民説明会方式は、住民にとっても運営側にとっても限界あり

☑住民がヨウ素剤を受け取る機会は説明会開催日に限られる

☑台風など天候に左右され開催延期になる不安定さ

☑スタッフ確保等の運営上の負担は多大 など

3.住民説明会での医師の役割が不明確。かかりつけ医の活用も。

4.事前配布の方法を簡素化する方向で見直しを。

ひたちなか市の状況

ひたちなか市は今年(2019年)2月、「原子力災害に備えたひたちなか市広域避難計画に係る 基本方針について」を策定・公開している。

ひたちなか市 広域避難計画に係る基本方針

その中のヨウ素剤配布に関する3ページのみを抜き出して下記に掲載する。緊急配布の際多くの困難が予測されるとして、30 km圏でもヨウ素剤の事前配布を行っていることが特徴である。